編集・出版マーケティング座談会 

書籍コンテンツ事業部の社員に仕事について語ってもらいました。

Sさん 書籍コンテンツ事業部 スターツ出版文庫・単行本編集担当 (写真中央)
2020年入社。商学部出身。ゼミでは、「書店における提案型ビジネス」について研究していた。入社時の配属は出版マーケティンググループで、2022年に編集に異動。
Tさん 書籍コンテンツ事業部 コミックベリーズファンタジー編集担当(写真左)
2023年中途入社。社会科学部出身。前職は新聞記者で、記者と法人営業を経験し、記事や広告制作はもちろん、被災地復興応援イベントやECサイトの運営なども行っていた。
Iさん 書籍コンテンツ事業部  出版マーケティンググループ(写真右)
2023年入社。経済学部出身。入社時の配属はOZmallのレストラン営業。2025年より現部署に異動、主にBeLuck文庫や単行本の販売プロモーションを担当。

まず、出版社を志望した理由から教えてください。

Sさん 今は書籍編集の仕事をしていますが、実は大学に入るまで、本はあまり読んでいなかったんです。読んだら思ったよりも面白くて、この面白さを人に伝えたいなと思うようになりました。書店でアルバイトをして、展示方法を工夫したことで、売上に貢献できたときに、売れたこと以上に「この本の面白さを多くの人に知ってもらえた」と実感を持てたことがうれしくて、出版社をめざすようになりました。
Tさん 中学の頃に、マンガを読んで人生観が変わった瞬間があり、そこからコミック編集者になるという夢を持つようになりました。ただ、新卒で就活していた時は、業界研究も足りず、大手出版社ばかり受けていてご縁がなく。新聞社に入社して、ニュース制作やイベントなど、いろいろな経験はできたのですが、コミック編集をやりたいという夢を捨てきれず、スターツ出版の中途採用で夢をかなえた、という感じです。
Iさん ドラマや音楽、映画がすごく好きで、人生が豊かになるコンテンツに携わりたいと思っていました。大学時代コロナ禍で、大学に行けない期間、楽しみはエンタメだったんです。海外にも興味がありましたが、ある時から日本のコンテンツが結構すごいと考えるようになり、それを届ける側になりたいと思いました。

スターツ出版で、やりたかったことは実現できていますか。

Sさん 読者が面白い、と思ってくれる作品作りに携われているので、やりたいと思っていたことはできています。ただ、ヒットが出せているかというと、当たりはずれはありますね。
Tさん あこがれのコミック編集職になれた、ということについてはかなっていますが、まだスタート地点。誰かのバイブルのようなコミックを作りたい、という目標に対してはまだまだですね。
Iさん 私は最初、OZmall配属だったので、エンタメコンテンツにかかわるという部分はちょっと違いました。ただ、OZの予約サービスのプラン制作や特集記事にかかわっていたので、「人を豊かにするコンテンツを届ける」という部分については、当時からかなえられていました。

担当業務について教えてください。

Sさん 担当している「スターツ出版文庫」は、「青春・恋愛ストーリー」を中心に、「和風ファンタジー」も発行。単行本では、「30秒で泣ける!」というキャッチの「タイパ小説」や、「モキュメンタリー」というホラー要素がある作品まで、10~20代の読者に刺さるテーマの本を発行しています。担当した企画では、「エモ恋 万葉集」や「5分後にエモい古典文学」といったシリーズが話題になりました。これは、別の企画で書店にヒアリングに行ったとき、「古典」の現代訳が意外に売れているよ、と教えてもらったことがヒントになっています。
Tさん わたしは女性向けの恋愛コミックを担当していますが、愛読者がいる反面、新しい読者の獲得が課題だと思っています。「ベリーズコミック」という女性向け恋愛マンガは、売れる作品の要素がわりと決まっています。ヒロインを愛する男性のスペックでは、御曹司やドクターなどが人気ですが、だからといって同じ内容が続くと飽きられてしまいます。新しい流れをどんどん出すために、いまは「ベリーズ文庫with」という20代女性をターゲットとした小説のコミカライズも始めています。
Iさん 私は書籍のプロモーションを担当しています。スターツ出版では、映画やドラマ、アニメ化する作品がどんどん増えていて、2024年末に創刊したばかりの青春BLジャンル「BeLuck(ビーラック)文庫」からは、「修学旅行で仲良くないグループに入りました」という作品のドラマ化が2025年10月にスタート。こうしたメディアミックスで作品が知られていき、原作をたくさんの人に読んでもらえることがやりがいです。

印象深い仕事について教えてください。

Sさん やっぱり、自分の作品を人に面白いと言ってもらえるとうれしいですね。2022年に担当した『青春ゲシュタルト崩壊』という作品では、スターツ出版文庫のテーマのひとつだった恋愛要素以上に、「自分らしく生きよう」というメッセージを届けたいと思っていました。今までの作品とは少し違うテーマでしたが、読者に支持されて、2025年に実写映画化されたのはうれしかったです。
Tさん 私は、まだ作品作りに慣れてきたところで、ある意味どの仕事も印象深いです。最初の頃は、周囲のアドバイスを全部取り込もうとして、デザイナーさんに「カジュアルでラブリーにしてください」って、ぜんぜん両立しないイメージで表紙デザインを依頼したり、知識が足りなかった。表紙ひとつで売れが変わるので、とにかく自社でも他社でも売れている作品を読みまくって、インプットして、やっと読者に届くものがわかるようになりました。
Iさん 私は、2023年公開の映画が大ヒットした『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』のプロモーションで、著者のサイン会に同行したときに、作品が読者の人生を変えたんだ、と実感する体験をしました。作品に出てくる鹿児島の「知覧特攻平和会館」に興味を持って、鹿児島の大学に進学したという方や、母親と喧嘩ばかりしていて悩んでいた時ちょうど作品を読んで、母親との関係を見直すことができた、という方がいらしていて、すごい影響力を感じました。

スターツ出版の特徴だと感じたことはありますか。

Sさん とにかく若い人が多いですね。書籍もコミックも、編集担当のほとんどが20代っていう出版社は珍しいと思います。若手が意見を求められるし、失敗してもいいからと、新しいことを任せてもらえる。だから、人の上に立ちたいっていうへんな出世意欲もない。純粋にサービスが好きで、読者に喜んでもらうことがうれしい、という人が多いと思います。
Tさん たしかに、伝統がある大きな会社だと、派閥争いが激しいイメージもありますよね。スターツ出版に転職してまず思ったのは、個人に与えられた裁量が大きいということ。ダメといわれたことがない。チームワークを大切にしているので、会議が多く、意見を言い合うことでスキルアップにつながります。その場でいろんなことが決まっていくので、スピード感をもって動けますね。
Iさん OZmallから異動したときは、転職したような感覚でした。OZmallも、もちろんチームワークが大事なので意見を言う場は多かったんですが、今は、詳しくなくてもどんどん発言してほしい、といわれます。スターツ出版が、本が好きな人に向けて作っているだけではなく、本をあまり読んだことがない人に向けて、どうしたら読んでもらえるかを考えているからかと思っています。

ご自身の就活での体験談や、学生の方々に向けてのメッセージをお願いします。

Sさん 「好き」をそのまま仕事にするって、すごく難しいことだと思っています。今、自分が好きなものも、年齢を重ねるうちに変化するし、好きなものだけにかかわるのは限界がくる。だから、ターゲットとなる人が好きなものは何か、常に意識して追究していく姿勢が大事じゃないかと思います。出版社のタイプにもよりますが、スターツ出版であれば、雑誌だけやりたいとか、一般文芸以外は興味がないという人よりも、いろんなジャンルを広く面白がれる人のほうが向いていると思います。
Tさん 出版社は「好き」を仕事にしてる人が多いですよね。やっぱり、その会社が出版している作品群に愛を持てるかどうかは大事かと思います。あとは働く環境ですね。長い時間をすごすわけなので、いっしょに働く人たちと価値観が合うかも大事。転職する際に、面接や面談を通じて感じた、熱量のあるサークルや部活みたいな会社だなっていう印象は間違ってなかったと思います。これから入社される方とも、いっしょに盛り上がりたいと思います。
Iさん 私は、スターツ出版と、音楽・映像系のエンタメ企業の両方から内定をもらっていて、実は最後まで迷いました。いろいろ考えて、長く働ける環境、若手が活躍できる環境ということが決め手になりました。それから、成長できる環境かどうか。スターツ出版では、一人に任せてもらえる業務がものすごく幅広い。他社だとかなり細分化されている業務を、一人で担当するのでとにかく成長が早いと思います。そういう指向の人と、いっしょに働きたいですね。

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