「子どもが本当に読みたい文庫」を立ち上げ、人気レーベルに育てあげる
2016年入社 書籍コンテンツ事業部 第一編集部 副編集長
■「親が読ませたい作品」ではなく、「子どもが本当に読みたい作品」
小説投稿サイト「野いちご」を起点とした、10代向け小説の編集を担当しています。思い出深いのは、2020年の「野いちごジュニア文庫」の立ち上げにたずさわったこと。スターツ出版では、中高生向けの恋愛小説「ケータイ小説文庫」が人気でしたが、より読者の幅を広げたいという思いから、ターゲットを小学生まで広げた「児童文庫ジャンル」への参入を検討していました。
新レーベルの立ち上げでは、市場調査からスタートするのが通例です。しかし今回は、他社とは違う「児童文庫ジャンル」のレーベル立ち上げになるため、まずは「自分が子どもだったとき、本当に読みたいものは何だったか」を考えるところから始めました。絵本や児童文学のような「親が子どもに読ませたい作品」ではなく、「子どもたちが本当に読みたい作品」は何だったかを考え抜いた結果、中学校でも小学校でも自分は「恋愛小説」がいちばん好きで、友達といっしょにドキドキしながら読んでいたことに思い至りました。
■「本を読むことが楽しい」という小学生が増えたのがうれしい
中高生向けの「ケータイ小説文庫」を、小学生向けにアレンジするという方向性は決まりましたが、「ケータイ小説文庫」が主軸にしている「溺愛」は、小学生には刺激が強すぎるのでは?という懸念もありました。そこで少女漫画など、ターゲットが近しい作品を研究し、パッケージは親に見られても恥ずかしくないほどほどの距離感、かつテンション高め、恋愛表現については「一歩攻める」ことを意識。結果、『今日、キミに告白します ~4つの恋の短編集~』と『溺愛120%の恋 ~クールな生徒会長は私だけにとびきり甘い~』という創刊2作品は、発刊から3年近く経っても重版を重ねるヒット作となりました。「野いちごジュニア文庫」が新たな読者を獲得し、人気レーベルに成長したのはもちろんですが、「本を読むことが楽しい」という小学生が増えたことがいちばんうれしいですね。
■自分のやりたいことを形にする熱量ももちろん、読者に寄り添う気持ちが大事
新卒の就活では、「日常生活を楽しくするものに携わりたい」という思いで企業研究をし、スターツ出版に出合いました。食、旅行、美容、エンタメなど、楽しそうなコンテンツがあふれていて、どの部署でもやりがいが持てそうと思ったのが入社のきっかけです。
最初の配属はオズモールのレストラン営業。営業といいつつ、プラン提案やページ制作など、企画に携われる楽しさがありました。ユーザーからのクチコミで「素敵なお店なのに、飲み放題の終了時間にせかされて残念」というコメントを見て、「滞在無制限」を提案し、人気プランになったのもいい思い出です。そのまま営業でも楽しかったのですが、とくに好きなコンテンツが恋愛系だったので、書籍編集に異動希望を出し、現在ではレーベルの副編集長を任されています。
編集は、絶対の正解がなく、試行錯誤も多い仕事です。そのうえで、作家さんの想いを汲みつつ、読者が読みたいものとの接点を見出してヒット作に繋げられたときは、大きなやりがいを感じます。
スターツ出版では、読者を絞り込み、彼らが今何を求めているか、どんなシチュエーションにときめくのか、日々変化するニーズを考え抜きます。市場調査や、結果の検証をチームで丁寧に行うことが成果に繋がります。自分のやりたいことを形にする熱量ももちろん大事ですが、読者のニーズや客観的な意見に耳を傾け、寄り添える人が活躍できる場所だと思います。
『この恋は、ぜったいヒミツ。』は、野いちごジュニア文庫で初めて執筆依頼する作家さんとつくった作品です。創刊の2作品に続いて人気シリーズとなり、その後も続刊が出ています。作品が多くの読者に届くことだけでなく、作家さんの新たなファンを創出できることも、大きなやりがいです。